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本についてのいろんなこと

【映画】ミーガン

お久しぶりです。

ブログにも埃が積もってしまって、「更新途絶えちゃったじゃん」と思った方も、

既にもう忘れ去ってしまった人もいるかもしれません。

 

久しぶりの更新が本のことではなく、映画のことでごめんなさい。

アマプラで『M3GAN / ミーガン』観てきたので感想を書きたくなってここに戻ってきました。

 

※いつものようにネタバレを含みますので、閲覧注意

 

M3GAN/ミーガン(字幕版)

 

M3GAN/ミーガン(字幕版)

M3GAN/ミーガン(字幕版)

  • アリソン・ウィリアムズ
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あらすじ

事故によって両親を亡くした9歳の少女、ケイディ。

彼女を引き取ったおばであるジェマは玩具メーカーに勤めるエンジニア。

彼女は新商品の開発をしていたが、なかなか良い案が出せずにいた。

ジェマが過去に開発したロボットにケイディが興味を示したことで、新しい試作品(ミーガン)の開発を思いつくジェマ。

ミーガンによって脅かされる未来を二人はまだ知らない。

 

ミーガンとは何だったのか

 映画の中でミーガンは開発中の「商品」であり「ジェマの傑作」です。

 ケイディにとっては両親を失った悲しみを埋めるための存在であり、実質的に母代わりの存在でした。ミーガンはケイディにとって、いつも会話し、トラウマを慰められ、時には意地悪をする男児から守ってくれる存在。仕事が忙しくて構ってくれないジェマよりも、ケイディにとってはミーガンの方が母親のような存在でした。

 身体はチタン合金でできていて頑丈。かつ、見た目のカスタマイズや、アップデートされる頭脳。躾だってお任せ。人間のように怒り狂ったりせず、辛抱強く丁寧にしつけをする様子は、人間の母親の立場がなくなるような危機感さえ覚えてしまいます。

 それに加えてGPS搭載で道に迷わない、歌が歌える、思い出を語っているときの音声記録を取ってバックアップ。子どもに寄り添う、理想的な友人。

 映画を見ていると、まるで未来の日常の一コマを描いているかのようにリアルでした。子どもとミーガンが二人一組になって公園で遊んでいる姿さえ想像できそうです。

 その恐ろしさが徐々に明らかになっていく後半ではホラー要素満載なのですが、平和な前半部分ではミーガンはまさに理想的な存在でした。

 

この映画のテーマ

私は以前「AI」という映画を観たことがあるのですが、

A.I. Artificial Intelligence (字幕版)

 

 こちらではSF感バリバリな世界に「養子」として迎え入れられたAI少年、デイヴィッドが登場します。

 この映画で争点となっていたのは、「母親に対して子どもが抱く愛」でした。

 もう子どもは授かれないと思っていた両親に新しい子どもが出来たことから、デイヴィッドは廃棄処分。それでも何とか命からがら逃げだして、母を求めて旅をする――というお話。こちらは純粋な「愛」をテーマにしていて、廃棄されるロボットたちの悲哀が描かれています。

 

 今作『M3GAN / ミーガン』では、歪んではいるけれど、それと似たようなものを感じました。ミーガンはケイディに、単なるAIと人間との絆以上のものを抱き、やがてそれは「ケイディに危害を加えるもの」に対する憎しみへと繋がっていきます。そこからミーガンは暴走してしまうのですが……。

 

個人的ポイント

 ・ジェマが超ドライ

  そりゃ突然「よその子」を預かることになったのはわかるけども。

  ジェマが不器用で、(あーこれは絶対に関係悪化するパターンだわ)と

  序盤で分かるレベル。

  だからこそ、ミーガンが母代わりになったとも言える。

 

 ・カウンセラーが役立たずに描かれすぎ!

  終盤で荒れ狂うケイディに「怒ってもいいのよ」と弱弱しく言い放つだけ。

  いや、そうはならんやろ……

 

 ・もう一人の家族との共闘シーンが胸熱!

  あれは他の方も待望していたシーンだと思います。

  拳を振り下ろすドーン! がスカッとしますね。

 

 ・ミーガンすごすぎ!

  滑らかすぎる動きとか、技術が限界突破してます。

  これは大人版が開発されて「彼女/彼氏 いらねーわ」ってなる人続出の予感。

 

 ・いや、諦めるんかい!

  ジェマ、ミーガンで大失敗したものの、この後あなたはどうするの……?

  まさか、ロボット開発から手を引かないよね? ね?

  これだけで彼女のキャリアが消えるのは悲しい。

 

映画でAIって言うと絶対反逆がセットだよね

 ロボットやAIをテーマにした映画では、良くも悪くも「VS人間」と言う構図が描かれがちで、今作も例にもれずその一つです。

 日本で言う「鉄腕アトム」や(実際に販売されている)LAVOT(らぼっと) とは違って、アメリカ映画ではロボットが必ず暴走するし、AIは人間のプライバシーを傍受する存在として描かれます。

 それを「国民性」と言う言葉で片付けるのは簡単ですが、私は「求めるもの」と「脅威」が異なるからなのではないか? と考えています。

 ベビーシッターがメジャーな合衆国では、「子どもの面倒を見る者」が求められていて、実際に様々な技術が発展していることから、技術が向上するにつれて問題になってくる「プライバシー侵害」「ハッキング被害」といったことに常日頃、恐怖を抱いているのだろうと思います。

 対して日本はというと、合衆国とは全く異なる価値観で世界が成り立っていて、ベビーシッターはメジャーではないし、プライバシーの意識も低い社会です。人々の関心は「かわいい」「面白い」「癒し」などが中心。

 恐らく今後日本でバカ売れするロボットが生まれるとしたら、それはベビーシッター替わりの人形ではなくて、本物そっくりの猫ロボットあたりでしょう。

 他の人の感想でもきっと登場していることだろうと思いますが、ターミネーターとチャイルドプレイの中間のような映画だと感じました。これは悪い意味ではなくて、大ヒット作二つの良い点を取り入れつつ、現代風に描かれているという意味です。

 合衆国と日本の求める共通点として、「癒し」がありますから、是非とも開発は猫ロボの方にしておいて欲しいな……と思いました(笑)

 

実はまだ終わっていない悲劇

 物語の最後、アレ●サみたいなスマートカメラ(?)がこっちを見るシーンがあります。その直前、ミーガンはスマートホームのデバイスを乗っ取り、ジェマのコマンドに応答しないよう設定を変更していました。さらにその前には車を乗っ取って運転する姿もあります。

 ミーガンはPCウィルスのようにスマートホームに留まっているのではないか?

 だとすれば、まだまだミーガンとジェマの戦いは終わっていないことになりますが……。

 

さいごに

 社会現象(?)、大バズ映画としての印象が強かったミーガンですが、実際に観てみると、バズるにはそれなりの理由があるんだなーと思いました。

 めちゃくちゃサイコホラーなのかなと思っていたら意外とそうでもない。

 でも、油断していると「血がブシャーッ!」なシーンがあるのでご注意ください。

 ホラー度は低めだけど、王道ホラー映画とは少し毛色の違う怖さがありますね。リアルにミーガンのようなロボットが開発される日もそう遠くないのかも? そう思うと、やっぱり全部をIT(IOT)に任せてしまうと危険なのかもしれない、と思ったのでした。